彼と私の関係〜もう1つの物語〜
『別れない、辞めないって言うまでは部屋から出せない』
中絶手術が終わった日は実家へ戻り、なんとか身の回りの事ができるようになった次の週、一人暮らしの部屋へ戻った時の台詞。
拓海は外回りの途中に抜けては私の様子を見に来ていた。
大丈夫だと言っても頑なに首を横に振る。
きっと奥さんと重ねて見ているんだろうと、冷静に見られる自分がいた。
知らないところで無理をした奥さんが倒れたという経験のある拓海。
流産と中絶という相対する状況であっても、手術をしたことと、体に負担をかけたことには変わりがない。