彼と私の関係〜もう1つの物語〜
◆5:Suffering…苦難…◆
善意と疑い
「岡本っちゃん、これお願いできる?」
書類から目を上げると、上原部長が微笑んでいた。
去年から拓海と上原さんは部長へ昇格していた。
「コピーですか?」
「うん。今度の勉強会の資料。うちの奴らはタイミング良く外回りに出てるから」
佐々木さんと高橋さんの席は空席で、ホワイトボードにはそれぞれの得意先名が書かれている。
「じゃあ50部ぐらいでいいですか?」
「うん。誤字脱字はま…っと、片瀬さんにお願いしたから大丈夫」
「はは。真央がチェックしたならコピーだけで大丈夫そうですね」
クリップで留めた資料を受け取ると、立ち上がった。