彼と私の関係〜もう1つの物語〜
元々、私が拓海に憧れている事は皆気付いていたらしい。
やっぱり人を見る仕事をしているだけあって、うちの社員が優秀なんだと思えた。
――だけど、拓海の態度が変化した。
中絶をした私を気遣うその態度が、他の営業社員にはただの上司と部下の態度には見えなかったらしい。
最初に気付いたのは奈々ちゃん。
以前、私のゴミ箱を漁っていたのは……
――拓海との関係を明らかにするものを探していた。
付箋で交わされる会話に気付いた彼女は証拠を掴むため、ほとんどの営業社員が出払ったのを見て「電話番号が分からない」と言いながら私の席へ行った。
私は馬鹿じゃない。