彼と私の関係〜もう1つの物語〜
彼の本心
家に帰って、ご飯の準備をしていると「ただいま」と言って帰ってきた拓海に声を掛けた。
「拓海」
「ごめん、奈央。少しだけ休憩していい?」
めずらしくスーツのまま座ってしまった拓海を怪訝に思いながらも、脱いだスーツの上着とネクタイを受け取る。
後ろを向いて座っている拓海の背中からは疲労感が漂っていて。
いつもの拓海らしくないと思いつつ、彼の言う通り何も語らず、ご飯の準備へと戻った。
料理をしながら、相変わらず背中を向けたままの拓海の様子を伺う。
何かが違う。
何が違う?
――どうしたの?