彼と私の関係〜もう1つの物語〜



「「いただきます」」



声を揃えて手を合わせてからは、拓海と初めて無言で食事をした。


食べながらも盗み見すると、いつもなら食事の感想を言う口はただビールだけを飲んでいて。


食事には全く手を付けられない。


どうしていいのか分からず、ただ目の前にある料理を咀嚼する。


味も分からず、ただ無意識で口へ食べ物を運ぶ。


1人暮らしの時は毎日だった行動も、拓海が傍に居ることで余計に空しく感じてしまっていて。



もしかして……



私から離れてしまうのだろうか?


噂が拓海の耳にも入ったの?


だから別れ話をしようとしているの?





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