彼と私の関係〜もう1つの物語〜
安心させようと微笑んでくれる真央に……
――私は賭けてみた。
「奥さんに……バレたの」
「え?」
「私の事、興信所で調べたみたいで……この前電話がかかって来て」
『返して!返せ!拓海は私のものなのに!アンタなんかに渡さないから!』
奥さんの悲痛な叫びがリフレインする。
グッと目を瞑ると、正直な想いをぶちまけた。
「怖いの、ダメだって分かってたのに。これ以上拓海を好きになっちゃいけないって分かってたのに。
奥さんの気持ちを聞いて、拓海が私の傍から居なくなるって思うと不安で……」
カウンターの上で握りしめていた拳に涙が落ちる。