彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「あれだけ不安定な奥さんを彼は見捨てる事が出来ないって分かってる。私だって奥さんにバレたらこの関係が終わるって分かってた。だけど……」
震える口から、拓海にすら言えなかった私の本音。
「いざ、拓海を……失うって考えると……頭じゃ分かってるのに……気持ちが心が受け付けないの」
自分の意思で何度も拓海の腕の温もりを手放そうとした。
――だけど出来なかった。
それなのに、今度は私の意思とは関係のないところで失おうとしている現実に心が置き去りにされていて。
自分勝手な考えだって事を頭では十分理解している。