彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「失礼します」
ノックの後、声を掛けてから倉庫の扉を開けた。
「お疲れ」
社長はにこやかに声を掛けてくれた。
横には久々に見る拓海。
「お疲れ様」
「お疲れ様です」
声を聞いたのも久々で、拓海の声だけでも泣きそうになっている自分がいた。
だけど、今はまだ泣けない。
俯きそうになる顔を上げたまま、真っ直ぐ拓海の元へ歩いて行く。
拓海の傍で立ち止まり、振り向いて見た社長の顔が真面目な顔に変化した。
しばらく沈黙が続いた後……
「藤井、今日会社に奥さんが来られた」
社長が口を開いた。