彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「奈央?」
「も、元々私が想いを伝えてしまったんです。言ってはいけない事を……藤井さんは何も悪くないんです。私が好きになったから」
「岡本さん」
「このままじゃいけないって……ずっと考えてました。それでも止められなかったのは……」
――彼との繋がりを絶ち切れなかったから。
「覚悟は出来ています。藤井さんには私以外にも部下がいます。これから先だって、会社の看板を背負っていかないといけない立場の人です。奥さんを不安定にさせたのも私のせいなんです」
力を入れて握りしめた拳を一度開いてから、もう一度握り直す。