彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「私が退職します。だから彼は……藤井さんは今のまま会社に残って下さい」
驚いて目を見開く拓海に、今度は私が微笑みかけた。
そう……
始めからこうしておけばよかった。
そうすれば誰も傷つかなかった。
奥さんの精神的な病気だって快方に向かっていたのかもしれない。
私なら、まだ1人身だしやり直しは出来る。
社長は黙って私達のやり取りを聞いていたけど
「岡本さんの気持ちはよく分かったから」
穏やかに微笑むと「料理を食べようか」と促した。