彼と私の関係〜もう1つの物語〜
どうして……
今、否定するの?
絶対に別れようと決めた決意。
それが拓海の言葉で簡単に揺らぎはじめる弱い自分に悔しさが込み上げる。
此処でまた彼の腕を離さなかったら……
私は彼の足枷にしかならないから。
「奥さんは……悪くないよ。私が先に奥さんを傷つけた。奥さんに罪はないよ」
「……奈央は俺の事嫌い?嫌になった?」
大きな手で私の両手を包み込む体温。
この暖かさが好きで、大好きで。
奥さんがいることを何度も何度も悔しいと思っていた。
この手はいずれ私から離れて行く……
そう考えると狂いそうなぐらい寂しく感じて。