彼と私の関係〜もう1つの物語〜
それでも穏やかな笑顔で拓海を迎えてくれた。
今は買い出しで外に出ている。
拓海の好きな少し辛口のカクテルを作るためブランデーを手に取る。
材料をミキシンググラスに入れ、静かに混ぜながら心を無にする。
グラスに注ぎ、手元に置く。
「これは何?」
「ボンベイ」
口に含むと右の眉が上がった。
「なかなか好みのチョイスだ」
「ありがと。で、話は何?」
グラスを拭く作業に戻りながら拓海へ問いかける。
こんな時間からお店に来ること自体珍しい。
ましてや何か言いたげな瞳。
平日は生活時間が完全に違うため、話をするとしてもメールぐらい。