彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「俺、上原。よろしくな」
まるで道で同級生に会った時のような気さくな物言いだけど、一瞬見せた眼光は鋭かった。
――瞬時にその人となりを見透かしたような……
そんな感じ。
「あっ社長。藤井はまだ得意先から帰ってきてないけど?」
眼光はホントに一瞬で、社長に話しかけた時はまたさっきの軽い感じに戻っていた。
「そうか。まぁじき帰ってくるだろう」
上原課長の視線が私と真央を捉えた。
「あっ、岡本さんと片瀬さんでしょ?俺、上原」
やっぱり軽い感じがしたけど、今度は穏やかに笑っているだけで鋭い眼光はなかった。