彼と私の関係〜もう1つの物語〜
苦悩
年が明け、私は真央へ謝罪の気持ちを引き摺ったままだった。
連絡を取ればいいとは分かっている。
だけど、真央が自分で選んだ道を今更どうこう口出しする事もできない。
謝っても……
もう時間を巻き戻す事は出来ない……
「いらっしゃいませ」
マスターの言葉で我に返った。
今は仕事中。
切り替えないと……
「いらっしゃ……」
「岡本奈央さんは貴方ですか?」
私の言葉と初めて見る男性の声が重なった。
「はい。岡本です」
怪訝に思いつつ、男性の言葉を肯定する。
私より明らかに年上の男性。