彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「真央の話はこれでおしまい。次は俺の本題」
真面目な口調に変わった拓海は立ち上がって掛けていたスーツから何かを取り出し、私は少し温くなったコーヒーを飲みこむと視線を向けた。
「何?」
「これを奈央に渡そうと思って」
四角い小さな箱を手のひらに乗せられる。
「こ……れって……」
「先週、離婚届を出してきた。慰謝料は今の家を明け渡す。それで両家が納得した。俺、ちゃんとけじめつけたから」
拓海の言葉に体が震える。
「開けて」
促されて、箱にかかっている白いリボンをゆっくりと解く。