彼と私の関係〜もう1つの物語〜
新たな事実と誓い
週末、久々に実家へ戻った。
リビングで拓海と2人、兄と向かい合った。
拓海は奥さんと離婚した事、慰謝料の事を話す。
机を挟んだ前に座った兄は、腕組みをしながらも穏やかな顔で。
「先日、奈央さんにプロポーズをしました」
「そうか」
兄は私を見ると、ニッコリと笑ってくれる。
「幸せそうな顔だ」
そう言ってから、もう一度拓海へと顔を戻した。
「藤井さん。二度と奈央に辛い思いはさせないで欲しい。もう苦しむ妹の顔は見たくないからね」
そう言うと、手土産で持ってきた手つかずのケーキにフォークを入れる。
美味しいと言いながらケーキを食べる兄を見て、笑みが零れた。