彼と私の関係〜もう1つの物語〜
隠す想い
次の日からは、真央が本社事務所へ行った。
行ったというより戻ったと言うのが正しい表現なんだけど……
今まで真央が居たからバレなかった私の不審な行動が彼の目に映るかもしれない。
それだけは絶対に避けなければと家を出る前には両手で頬を叩いて気合を入れるのが習慣になった。
部下である私を彼は得意先へと連れ回す。
一緒に挨拶をして名刺を配る。
女性の営業社員がめずらしいのか、若いのがいいのか知らないけど、とにかくいやらしい目つきをする担当者が数人。
嫌悪感で体が震えるけど、彼の前では絶対に見せられない。
私は入社して1カ月で愛想笑いを覚えた。