彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「岡本さん……これ間違ってる」
「えっ!すいません」
彼に提出した報告書。
手招きする彼の元へキャスターの付いた椅子ごと移動すると、電卓を叩きながら正しい数字を液晶画面に表示させていた。
その数字は1ケタ違っていて……
「わわわっ!すいません!」
私は慌てて自分の席から修正テープとボールペンを掴むと、報告書を修正した。
「事務処理が欠点だね」
心地よい彼の声には少しだけ笑いが含まれていて。
私は真っ赤になりながらもう一度すいませんと謝った。