彼と私の関係〜もう1つの物語〜
定時前になって『飲みに行きたいから』と彼からのメールを受け取ったらしい。
「2人が来るまでは笑いながら、自分の事みたいに『嬉しい』って上機嫌でさぁ。久々に拓海の笑った顔見たな」
彼は今日の商談をそんな風に捉えていてくれたなんて全然知らなくて。
「……え?奈央?」
「っ……くっ……」
「あらら。嬉しくって泣いちゃった?」
上原課長の冷やかしすら嬉しく感じてしまう。
真央は鞄をゴソゴソしていて、きっとハンカチを探してるんだろう。
ハイと手渡されたハンカチを受け取ると溢れ出る涙を懸命に拭う。
――そんな彼の優しさにますます心が惹き付けられた……