彼と私の関係〜もう1つの物語〜
だけど、今は彼の声も遠くに感じるほど緊張感で震えていて。
気が付くとシトラスの香りが鼻を擽る。
「もしかして不安になったか?」
彼は私の隣に腰掛けながら顔を覗きこんできていて。
そんな彼に無言で頷くしか出来なかった。
「まぁ、これだけ大きなプレゼンは仕事を勝ち取るだけじゃないんだ」
そう言うと視線を私から外し、彼は話し始める。
「参加するだけで会社名が他社の目に触れる。それだけでも大きな事なんだ。だからあんまり深く考える必要はないから。俺や大樹のフォローじゃ不安?」
――不安じゃない……