君にきらめく花束を。








 「今日転校生来るみたい!!」



 「男子? 女子?」



 「どんな子だろう?」



 「友達なれるかなー」



 「可愛いかな?」







 教室では既に

 話題は転校生の話で
 盛り上がっていた。




 「情報入るの、早ぇ〜」



 「どうせ情報集めが趣味の
  恭平からみんな
  聞いたんじゃね?」






 恭平――

 河邊恭平 <カワベ キョウヘイ> は


 情報集めが趣味で
 いつも小さな手帳を手に


 休み時間

 学校中のあらゆる噂などを
 集めては手帳に書いている。







 「陽菜いつ来るんだろ」



 小さく呟く秋斗…










 「……なあ秋斗」



 「んー?」



 「お前…
  陽菜のこと好きだろ?」








 …… 俺


 陽菜に再会する前に
 聞いちゃったぞ……




 答えにくいだろうな…






 だけど秋斗は

 俺の不安とは裏腹に
 即答した。









 「――うん、好き」








 「え…………」







 思わず出てしまった

 俺の心の声。





 「好きで悪いか?」








 こんな秋斗…

 今まで見たことがない。





 いつも秋斗は

 笑っていた。





 …なのに



 「何なんだよ、それ」





 今の秋斗は

 笑ってなんかいない。



 ――睨んできてる。







 「大河も答えろよ。

  陽菜のこと
  好きなんだろ…?」












 答える……べき?




 それとも

 答えない……?







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