俺様保健医の甘い罠《fin.》


な、何て?



『家まで送ってやる』って言うた?



誰が?



久世センセが?



「ええよ。歩いて帰れるし……」


「無理だろ、その足では」


「せやかて……。久世センセに迷惑かかるし……」



しょぼんと肩を落として落ち込むと、久世センセが笑った声が頭の上からした。



顔を上げたら、やっぱり笑っている久世センセがいた。



なにを笑ってんのやろ?



ウチ何もおもろいコトなんてしてへんよ?



というより、ココ笑うとこないんとちゃう?



「何笑ってんの?」


「今更遠慮なんてしてんなよな。ほら、チャイム鳴ってんぞ」


「あ、行かな」


「放課後迎えに行くからな……冬姫」



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