俺様保健医の甘い罠《fin.》
保健室から出る間際、ウチの背中を押すように久世センセが言った。
こん時、初めて『冬姫』と呼んでくれた。
胸がポ~ッと温かくなって、キュンと胸が高鳴る感じがした。
コレが何なんか、この時のウチには分からへんかった。
放課後。
久世センセは約束通りに迎えに来た。
「葛原」
「久世センセ!!早いやんけ!!」
さすがに、みんながいる前では『冬姫』とは呼べない。
それはウチにも分かるから、なんか言ったりはせん。
そこまでワガママちゃうし、ちゃんと理解はある。
やけど……。
久世センセがみんなに囲まれとるんを見るんは、気分のええもんとちゃう。