俺様保健医の甘い罠《fin.》
久世センセは見向きもせんけど、なんか胸がモヤモヤして、イライラしてしまう。
何なんやろ、この気持ち……。
「行こ、久世センセ」
「あぁ。お前、歩けるのか?」
「大丈夫」
「無理すんなよ」
優しい声音でそう言うと、スルリとウチの腰に手を回して支えてくれる。
みんなの視線がイタいけど、ずっとこうしといて欲しかった。
この大きくて温かい手を、離してほしくない。
「ほら、着いたぞ」
「えっ!?あ、ホンマや…」
気付いたら家の前に車は止まっとって、ウチはずっと悶々と悩んどったみたい。
「何ボーっとしてんだよ…」
「何もない!!送ってくれておおきに」