俺様保健医の甘い罠《fin.》
途端に騒がしかった会場は静まって、視線が久世に集まった。
男の人たちの羨望の眼差し、女の人たちの熱視線。
「な、なんか凄い……」
みんな華やかで、ウチが場違いに感じる。
久世は視線なんて何のそので、奥へと進んでいく。
途中でワインを受け取って、上品に飲む。
色っぽい……。
やっぱ、ウチって場違い?
「あら、京夜さん!!」
京夜…?
可愛らしく言って、久世に近寄ってきたんは着飾った女の人。
「主催者の娘だ」
ウチの耳元でコソッと言うと、ギュッとウチを近付けた。
それは、その女の人にわかるようにされた。