夢を求めて
村井は眉間に皺を寄せ眩しそうに空を見上げてからリコを真っ直ぐ見て口を開いた

「・・・水泳してるってホントか?」

ストレートな言葉にリコは返す言葉を失った

珍しく鋭い目線を向ける村井から、目を逸らすこともできずリコは佇んでいた

「プールなんかで発作起きたらどぉなるか分かってるよな?」
「・・・」

「死にたいのか?」
「・・・違う・・・」

「だったら何故?」
「ごめん」

リコは村井に背を向けた

このまま寮に逃げ込んでしまいたい気持ちと、村井への罪悪感で動けないでいた

村井はそんなリコに近づき後ろから抱きしめた

そしてリコの腕を掴み指先に神経を集中させ脈をとった

ドライブした時より細くなっているリコの体、指先に伝わる脈の弱さ

村井は胸騒ぎがした
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