夢を求めて
「苦しくなったりしてないよな?」

リコは罪悪感に唇をかみ締めた

頬を伝う涙が村井の腕に落ちる

村井にはリコの体が限界だと分かっていた

顔を覗きこむとリコは顔を背けた

「もぉ水泳は辞めろ」

村井の言葉にリコは回された腕を掴んで言った

「・・・もう一日だけ待って・・・明日の夕方まで・・・それで終わりにするから」
「大会か?」

村井の腕の中のリコが体を震わせて涙を堪えて頷く

村井はそんなリコを強く抱きしめた

練習とは違う、こんな体でレースになんてもたない

もったとしてもレース後に発作が起きるのは想定できる

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