ヤンキー君のお隣に♪<完結>
「な、何!?」
「あ……いや、熱あるかなと思って」
先まで冷たかったはずなのに、私の頬はやたらと熱い。
「先輩、やっぱり少し熱、ありそうです。早く帰りましょう」
「う…くしゅん」
松山君に返事しようとしたのに、先にくしゃみが出てしまった。
マフラー、持ってくれば良かった。
首の下が寒い。
そう思っていると、フワッと何かがかけられて、首の下があたたかくなった。
「えっ、これ…」
「俺の…です。男物ですけど、少しはあたたかくなるかと思って」
「あ、ありがとう。でも、松山君も寒いでしょ?いいよ、忘れた私が悪いんだから」
「いえ、こういう時は病人優先です。それに俺、体けっこう丈夫で風邪はそんなにひかないから」
「いいの?じゃあ…使わせてもらうね」
少し体があたたかくなった気がする。
それは松山君が貸してくれたマフラーのおかげでもあるけど
一番は松山君の優しさのおかげなんだと思う。
ゆっくり、ゆっくり歩く。
彼もまた、私のペースにあわせてゆっくり歩いてくれる。
少し先には高倉君と奈保ちゃんの姿が見える。
まだ2人の間は少し離れているけど、1ヶ月後にはぴったりとくっついて、手を繋いで、普通のカップルのように歩いていると思う。
「ねぇ、松山君?」
「はい」
「奈保ちゃんのこと今でも好き?」
「………はい」
そういえば、昨日も同じ質問したかも。
「奈保ちゃんのどこがいいの?」
「……えっ?…」
「奈保ちゃんにあって、私に無いものって何?」
「………」
「なんで、みんな奈保ちゃんなの?なんで、私じゃ…ダメなの?」