ヤンキー君のお隣に♪<完結>
「う…ん」
確かに想像しただけで顔が赤くなる。
熱で朦朧(もうろう)とする中、私は松山君の手に導かれるように、歩いた。
不思議とこの時は、松山君に手を握られていることに、戸惑いや違和感を感じなかった。
むしろ、何回か私たち付き合ってるんじゃないかって思ったりもした。
しばらく歩くと、一軒の家の前で松山君は止まった。
「ここが俺の家です。どうぞ」
そう言うと松山君は玄関の戸を開けた。
……本当に入っていいのかな?
「松山君、あの…本当…」
「ともや~! 帰ったの?」
戸の向こうから女の人の声がした。
「えっ…あの…」
突然の展開に戸惑っている私の隣で
「はぁ、姉貴帰ってきたのかよ」
松山君はため息をついていた。
「ともや~!帰ってきたなら顔くらい見せなさいよ!」
そう言う声にドタドタとこちらに近づいてくる足音。
ヤバい!!
私は咄嗟に松山君の後ろに隠れた。
足音は私たちの前で止まった。
「ともや、もうなんで上がってこないのよ。って……えっ…誰?」
やっぱりばれちゃった。
「あ、あの…私…」
「お母さーん!!!ともやが!!ともやが彼女連れてきた!!」
って、えー!!!
熱で朦朧としていた意識がしっかり戻ってきてしまった。