ヤンキー君のお隣に♪<完結>
その瞬間、先輩の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「……だ…だって……だって……」
「冗談でも、今の恋がどんなに苦しくても、そんなこと言ったらダメですよ。たとえ、その恋が実らなかったとしても。もし、先輩が今の恋を否定したら、先輩はそれ以上の恋ができなくなってしまいますよ」
恋は勉強みたいに努力すれば上手くいくわけでもない。
努力しても報われないほうが多いかもしれない。
でも、それでも人は恋をする。
自分なりに可愛くなろうと
かっこよくなろうと
努力する。
報われない可能性が高かったとしても
1%でも可能性があると知ると、本気の恋をしている人は努力する。
好きな人と付き合えることを願って。
新しい自分を知れることを願って。
人は恋をする。
しばらく泣いていた先輩は、顔を上げて俺を見た。
「…私……私も…できるかな?…新しい…恋」
「先輩ならきっと大丈夫ですよ」
お世辞じゃなくて真面目にそう思う。
先輩と出会った日はクールでサバサバした女子だと思っていた。
でも、違った。
クールそうに見えて実は優しくて友達思いで。
俺に無いものいっぱい持ってる人だった。
先輩は気づいてないみたいだけど、多分モテる要素はけっこう持ってると思う。
「松山君」
「はい」
「ありがとね」
先輩がニコッと笑った。
その笑顔に胸が高鳴った。
新しい恋が始まる予感がした。