ヤンキー君のお隣に♪<完結>
「ねぇ、橋元君。やっぱり止めたほうがいいよ。風冷たいし、風邪引くよ」
「先輩!男には最後までやり通さなければならないことがあるのです!!」
そのセリフ…もっと違う場面で使えば、かっこよく聞こえたのになぁ。
屋上は思っていたより、広かった。
橋元君は屋上の中央にたった。
私たち三人は彼の様子をじっと見守る。
橋元君は空を仰いだ。
そして大声で叫んだ。
「優子と付き合えますように―!!!」
「優子って…今流行りの女優?」
私は松山君に聞いた。
「違いますよ、アイツと同じクラスの高倉優子です」
…高倉……
まさかね……
「あー―スッキリした」
橋元君は満面の笑みを浮かべ私たちの所に戻ってきた。
「ねぇ、橋元君。あんたさ、男なんだからこんな噂信じて屋上で叫ぶ前に、優子ちゃんに直接告白すればいいじゃん」
さすが、有紀。言うことが鋭い。
「……それができれば苦労しませんよ。アイツ、めちゃめちゃモテるんですから。俺にはそんなアイツに告白する勇気ないです」
「ふーん、生徒指導室から、こわーい大野先生の目を盗んで鍵を持ち出すことはできる勇気があるのに?」