ヤンキー君のお隣に♪<完結>
「ウソよ!あんたは私のことが嫌いなんでしょ?だから私から大切なもの全部奪い取るんでしょ?友達も高倉君も松山君も。みんな私から奪っていったじゃない!!」
「何が大切なものよ。本当に大切なら全力で守ったはずよ。松山君や高倉君のどこに惹かれたの?どうせ、見た目でしょ?また同じ失敗を繰り返すつもり?」
同じ…失敗って?
「あの…同じ失敗って?」
俺が入りこんで良いわけがない会話だとわかっていたが、どうしても気になった俺は園原先輩に聞いた。
「この子、中学の時…五歳年上の男性に一目惚れしたの。もちろん見た目に惹かれてね。でも彼はいわゆる遊び人だったの。そうとは知らず、まやちんは彼に言われるままに、貯めたお小遣いを全て彼の為に使い切ったわ。だけどまやちんがもうお金がないって告げたとき、彼は『所詮、中学生だろ。恋愛対象になんかならねぇよ』って捨て台詞を吐いてまやちんを捨てたの」
あまりにもかなしずきる「まやちん」の過去に俺は言葉を失った。
「松山君、止めてくれる?」
「はい?」
「まやちん」は今度は俺を睨んだ。
「そんな同情したような目でコッチ見んの、止めてよ」
「……いや…別にそんなつもりじゃ」
「私が可哀想と思った?情けないって思った?バカみたいって思った?…そう思ったなら、私と付き合ってよ!私にキスしてよ!私を抱いてよ!」
バシッ
乾いた音が視聴覚室に響いた。