ヤンキー君のお隣に♪<完結>
☆有紀Side
「お前、本気か?」
「はい」
放課後。誰もいなくなった教室で、私は村中先生に面談をうけていた。
「お前が目指している道は厳しいぞ。それをわかって言ってるのか?」
「はい、わかってます」
自分でもわかってる。芸人になるにはそれなりの覚悟が必要だ。でも幼い頃からの夢。諦めるわけにはいかない。
「そうか。親御さんはなんて?」
「まだ、話してない……」
ウチは教育ママだから、小さい頃からいろんな習い事を娘にさせて、高校もこの学校以外は受験させなかった。そんなママだから私が女芸人になると言ったら、失神するかもしれない。
絶対に反対される。
それがわかってるから言えない。
「お前が親御さんに言いたくないのはわかる。先生も自分の娘が芸人になると言ったら断固反対する。
だが、言わなきゃ何も変わらないだろ?」
「そう…だけど…」
「お前が芸人になりたい理由はなんだ?」
「私、人を笑顔にさせるのが昔から好きなんです!笑ってるときとか、人って嫌なこと忘れちゃうでしょ?だから私、みんなに笑ってもらえるような芸人になりたい!!」
目の前にいるのが先生だと言うことを忘れて、私は舞に話すみたいに無我夢中でしゃべっていた。
「それだけの意気込みがあるなら大丈夫だろ。自分信じて、親も説得して、良い芸人になれよ」
「はい!………あっ、でも先生。申し訳ないのですが、私のサイン第一号は心友に決まってるから、先生は渡すとしても第二号になります」
「いや……俺はいいよ」
先生はサインを断った。
多分、私がそんなに有名になるまいと思っていたんだ。
――――
数年後、村中先生はこの時サインを貰わなかったことを後悔した…
……かどうかは未来の私と村中先生だけが知っている。
――――
――――――――
作者から
「有紀の話。もっと面白いと思ってたのに…」
そう思った方。私も同感です\(--;)
でも、有紀ちゃんのモデルとなった私の心友は只今進路に悩み中でありまして(芸人にはなりませんよ!)…それを無視して、普段の有紀を書くことはできませんでした。
あの、学生の方なら共感してもらえる人も多いと思うんですけど、進路を決めるってホント大変で…。大変で。だって一生が決まる可能性、高いのですから。
だから舞に引き続き、有紀の話も進路の話になりました。
※舞の話に似てるというクレームには……ただ黙認します。
ではでは次は橋本君Sideです。
橋本君の恋の行方は…
果たして…