ヤンキー君のお隣に♪<完結>

☆まやちんSide






「林、ごめん!今までずっと…その…傷つけて…」






舞に殴られたあの日の帰り道、私は同じクラスで不登校の林の家に行き、頭を下げた。





不登校にさせたのは私だから。





「……ぅぅん、大丈夫。怒ってないよ」




そう言った林の声は震えていた。


ドアノブを握りしめている手も震えていた。







ここまでしたんだ。ここまでしてしまったんだ、私は。





林が不登校になった後、私は担任から彼女が対人恐怖になったと聞かされた。




その時は特に何も思わなかった。



でもこの姿を見た瞬間、私はいじめていたあの時の自分を、弱虫だったあの時の自分を本気で殴りたくなった。







「ホントに最低なことしてしまったって…今さら後悔しても遅いと思ってるけど、でも伝えたかった」




綺麗事じゃなくてこれは本音。




過去につけた傷は、彼女の心につけた傷は一生消せない。


どんなに謝ったって、仮に私が死んだとしても消えることはない。

いじめをして残るのは被害者の苦しみ。そして加害者の苦しみ、それだけ。





だけど私は伝えたい。



「あの祐子、もし良かったら…明日から学校来てくれないかな?もう絶対いじめない、傷つけない。図々しいことはわかってるけれど、私とまた一から付き合ってほしいんだ」




今、私が思ってることを全て初めて名前で呼んだ彼女に伝えた。




祐子は優しく微笑んで頷いてくれた。




空を見上げると真っ赤な夕日が私達を見守っていた。



―――

―――――


作者から



今回はいじめをテーマにしてみました。


いじめ問題は人間の心の問題だから簡単に口出しするのは難しいんだけど…

でも作者はやっぱりいじめはどんな理由であってもNGだと思います。


その理由はいじめをして得られるものは何もない、あるとするなら憎しみや後悔とマイナスのものばかりだからです。



それにいじめなんかしてたらせっかくの青春が台無しだから…ですかね。





話が暗くなる前に





次は高倉優子Sideです




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