ヤンキー君のお隣に♪<完結>

★中村先生Side



「えー…今から頭髪及び服装検査で引っかかった生徒の名前を呼びます。名前を呼ばれた生徒の担任は、厳しく指導して下さい」



年に三回行われる頭髪服装検査。

俺はこの時期になると必ずと言っていいほど、胃を痛めていた。


特に今年は、高倉と松本。厄介な生徒が2人もいた。

おかげで俺は生徒指導の大野先生に「二年二組は毎回…同じ人が引っかかる」と小言を言われ続けてきた。




だが、どれだけ俺が叱っても2人は聞く耳を持たなかった。高倉に関しては「校則は俺たちを束縛するためにあるのか」と逆ギレしたこともあった。




――




「次、二年生。一組、石野、山田。二組は該当者なし、三組…」






え…



今、なんて言った!?



該当者なし?

ウチのクラスが!?




一通り発表が終わった後、バシッと肩を叩かれた。


後ろを振り返ると大野先生がいた。



「中村先生、やるじゃないですか!高倉も松本も容姿、服装バッチリでしたよ!…で?どうやって2人を説得したんですか?」




「どうやって…と言われましても…僕は別に」



何もしていない。本当に何も。



「あら?じゃあ、なぜ2人は更正したの?」



それは俺にも謎である。




その時、隣のクラスの村中先生が口をはさんだ。




「高倉は彼女のおかげじゃないですか?」




「彼女?」



「ええ、いるって噂ですよ、高倉とは正反対の真面目な生徒だとか」



「村中先生、そんな生徒のプライバシーを…」


「でも、この噂、けっこう有名ですよ」



「だからって…」



そこまで言いかけて、俺は思い出した。



「高倉はいいとして…松本真弥は?」



「さぁ?それは僕にも」



村中先生は首を傾げながら自分のデスクに戻っていった。


「まぁ、何はともあれ、良かったじゃないですか。中村せんせ!」



そう言って大野先生も生徒指導室に戻っていった。





会ってみたい。高倉の彼女。それから松本を更正させた人物に。

会って、2人と話してみたい。


そんな思いが頭に浮かんだ。



――

――――
作者から


中村先生は本編にあまり登場してないけど、先生目線も必要だ!と思って書きました。


すいません、字数制限が…危ういので次のページに移ります。

< 616 / 627 >

この作品をシェア

pagetop