光と影-Light&Shadow-
あれ・・・、
お父さんとお母さんはイタリアに6年間出張なんだけどな・・・・・・。
だから帰ってくる人はいないはず・・・・・・。
「誠人~!・・・・・って、あ?」
いきなり入ってきた、陽気な男の人。
全く知らない人、だけど・・・・・、
私と制服が一緒・・・・・・。
「悠馬じゃねぇか!来たのか~!」
「後輩と遊んだ帰りだけど・・・・・・、何?彼女?」
悠馬、って人は私を指差す。
(むっ、失礼な人だなぁ・・・・・・。)
「おい、光梨に指差すんじゃねぇよ」
お兄ちゃんが悠馬さんの指を掴む。
「痛ッ・・・・!」
ミシッと音がしそうなぐらい掴んでいるお兄ちゃん。
ギロッとブラウンっぽい瞳が光っている。
「俺の大事な妹の、綾原光梨、高1」
ポンッと頭をなでられる。
「へぇ・・・・、初めまして、藤川悠馬、高2です」
「あ、綾原光梨です!」
「まぁ入れ、・・・・光梨も早くおいで」
そして私たちはリビングへと入った。
悠馬さんの手のお兄ちゃんがつかんだアザは
見なかったことにしておいた。