遠距離恋愛

君色


風が寒くなる季節が来た。

木々も葉を落としかけていた。


「うわぁー。寒ッ」

私はコートを片手にいった。

でも話しかける相手などいない。

君とはあれから連絡をとっていない。


嫉妬というわけではない。

この気持ちのまま君に会ってはいけない気がした。



きっと、わからないけど、

おそらく、そうなんだとして。


私はまだはっきりしない心を胸に歩き出した。


新学期が始まろうとしていた。

今の私が君に会っても、

「好きだよ」

なんていえないと思う。

だから、今は……


距離を置かせて。



きっと君もわかってるんだよね。

連絡をくれないのは君のほう。

私も君もそれで十分なんじゃないかな。


みんながみんなここで立ち止まっているわけにはいかない。

新しい一歩を踏み出すんだ。

だけど、ここに踏み出せない自分がいる。



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