遠距離恋愛
私は受験結果を待ちながら、夜空を見上げる。
周りは真っ暗。
所々に電柱がぽつぽつ。
都会ではなければ田舎でもないのだけれど。
私は都会にいると星があまりよく見えなくて、嫌いだった。
親戚の家に泊まったとき、窓から見たあの景色は忘れない。
暗い空に星がぽつり。
きっとずっと都会にいたら知るとこのなかった景色。
クレヨンでも色鉛筆でも私の腕では描けない色をしている光。
私はひどく憧れた。
引っ越して、都会から離れた私は山に囲まれた土地にやってきた。
山や森はあるのだけれど田んぼや畑はない。
人口の数も少なくていいのだけれど人との交流がない。
いいのか悪いのかわからないところに来た。
でも、景色がよかった。
駐車場に来て、
「あ、今日は満月だ」
なんていえるほどの幸せはない。
都会の空を見る。
暗い、黒い空が一面に広がる。
光の強いものが時々見えるだけ。
私はスケッチブックを片手に空を見る。
月の形をスケッチする。
少しずつ欠けていく。
でもまた膨らんでいく。
面白くてたまらない。
私は描いているときふと、思った。
「あそこに一つ、星が」