短編■ 制服の頃
明日が来ることにいつから焦るようになったのだろう。
あの頃は早く明日になって学校のみんなに会いたかったのに。
「女子高生いいなーいいなー」
「お姉ちゃんアラサーじゃん、きっついってー、制服ムリムリ」
友達と彼氏と、集まれば昔話ばかりしてしまう。
すぐに女子高生の頃と今を比べる話ばかりしてしまう。
卒業して何年も経っているのに、会えば毎回毎回“あの頃は良かったトーク”になる。
昔を思うと無性に切なくなる。
酔った勢いで学校を見に行ったりなんかして。
――切ない。切ないしかない。
通学路、放課後の雰囲気、校舎の色合い…全部が切ない。
だから凄く嫌になる、地元が開発されることが。
新しい店、新しい道、キラキラ変わると腹が立つ。
私たちの頃の店を潰さないで、通学路を変えないで、思い出を消さないで――
そんな風に切なくなる。
女子高生の頃は地元が都会になることに憧れたのに、
今はそのままにしておいてと願う。
切ない、切ない。戻りたい。