短編■ 制服の頃
…先に進みたくなくなる。
明るい未来の話より、やっぱり昔の話をしたくなる。
結局、酔ったら懐かしトークをしてしまうのだろう。
あの頃のメンバー。
――幸せな時間の象徴。
制服を着ている頃に、死ぬ程 憧れても戻れない。
一瞬だった。
あの頃は――女子大生になるのか短大生になるのか専門学生になるのかフリーターになるのか、
見えない未来が楽しみだった。
今はただただ過去が恋しいだけ。
女子高生。
いかに学校生活に恋愛やら友情やら盛り込めるかが肝心だった。
懐かしい…あの頃が欲しい。
時間が憎たらしい。
けれど……
私たちは未来を見なきゃ。
田上千依。
女子高生の妹が憎たらしいくらい羨ましいアラサー世代。
ルーズソックスが命だった頃。
あの頃は大切だった。
今も楽しい。
仕事で疲れてるのに彼氏と無理くり会ったり、先輩と飲みに行ったり、
明日は早いから友達と時間を調節して遊んだり、楽しい。
今だって十分楽しいじゃないか。
ちょっとないものねだりなだけ。
…でもやっぱり制服が好き。
〓おわり〓