短編■ 制服の頃
あの時、もっともっと馬鹿をすれば良かったと思う。
なぜなら、手放しに悪ノリなんて今更出来ないのだから。
あの頃のちょっとしたおバカな遊びを、もっともっとすれば良かった。
例えば大型スーパーで鬼ごっこ、クラスメートの家にピンポンダッシュ、
イケメンが居る公園でボール遊びをしてわざとぶつけたり、
聞いてもいない路上の歌に『感動しました』と言ってみたり、
カッコイイ店員さんの居る店に行ってアドレスを渡したり…
……そう、おバカなことが最高に楽しかった。凄く楽しかった。
制服を脱いだ今、それをすることが不可能となる。
世間とか周りの人とか、色々と考えるようになる、自分の立ち位置を。
そんなものを無視して振る舞えたあの頃に戻りたい。
制服が羨ましい。
女子高生に戻りたい。