短編■ 制服の頃

あの時、もっともっと馬鹿をすれば良かったと思う。

なぜなら、手放しに悪ノリなんて今更出来ないのだから。


あの頃のちょっとしたおバカな遊びを、もっともっとすれば良かった。

例えば大型スーパーで鬼ごっこ、クラスメートの家にピンポンダッシュ、

イケメンが居る公園でボール遊びをしてわざとぶつけたり、

聞いてもいない路上の歌に『感動しました』と言ってみたり、

カッコイイ店員さんの居る店に行ってアドレスを渡したり…


……そう、おバカなことが最高に楽しかった。凄く楽しかった。


制服を脱いだ今、それをすることが不可能となる。


世間とか周りの人とか、色々と考えるようになる、自分の立ち位置を。

そんなものを無視して振る舞えたあの頃に戻りたい。


制服が羨ましい。

女子高生に戻りたい。


< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop