短編■ 制服の頃
「いいなぁー結衣は」
携帯電話片手に一喜一憂、女子高生をしている妹が羨ましい。
代わって欲しい。
恋愛にアルバイト、メイクやら髪やらオシャレをして、友達と長電話。
正に女子高生そのもので、妹が羨ましい。
『好きです、付き合ってください。』
こんな台詞、この歳になると なかなか聞かない。
告白のない流れだなんて、浅はかだ。
そんなのは嫌だ。
どうして“昔の自分”は“今の自分”に負ける部分が何一つないのだろうか。
何も勝てやしない。