バツ2彼氏
「…え」
「前田が火をつけるから、抱きしめたくなっちまった」
「…」
あたしはその言葉に赤面する。
「6年前…」
「?」
「前田が好きだって言ってくれた時、本当は嬉しかった」
6年前の、桜の木の下での告白。
「正直、恋愛対象には見てなかった。あの時は教師と生徒だったから」
「ん…」
そんなこと分かってるよ。
分かってて告白したんだからいいんだ。
「でも 前田のことは可愛いって思ってたよ。何だかほっとけないタイプっていうのかな? 見張ってないとチョロチョロする感じで」
「それ、動物っぽい扱いじゃない?」
「はは」
可愛いって思ってくれてただけで嬉しい。