涙の枯れる頃


「…み……き」
雪の意識が戻ったらしく、私の名前を呼んだ。

「……雪、泣いていいよ。私に分けて。雪の悲しみを……私に分けて…」
「…っ……美姫っ……」
雪は私を強く抱きしめて、私の肩を涙で濡らした。

どんどんと、雪の声が小さくなっていって、最後に「…会いたい」と言う言葉を残し、私の肩で再び目を閉じた。


「…美姫」
ゆっくりと私の涙を拭ってくれた日向。

そして、不器用に微笑み、頭を撫でてくれた

「…美姫、雪の過去、聞きたいか?…聞いて、雪に背を向けないで、受け入れてくれるか?」
日向の真剣な眼差し。

雪に何が合ったのか、知りたい。
知って、雪の悲しみを少しでも、分け合いたい。

「絶対に逃げない。…雪の抱えてる物、一人で背負わせたくない。……私にも、分けて欲しい」

私は、答える様に、真っ直ぐ日向の目を見た。

「…美姫は強いね。…――――雪はね」



雪の過去は、予想以上に哀しく。

大きな問題を雪一人で…

毎日、毎日。

自分を偽りの笑顔を絶やさずに…


これまで、一人で来たなんて。



……私の胸に何かが刺さり、震えていた心を一気に壊して行った

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