涙の枯れる頃


私は…役立たずだよ。

雪が大切なのに…
少しでも力になりたいのに…

どうして?

此処に…何も出来ない私がいる。

此処に…少しも力になれない私がいる。

「…雪は、小6に俺らに出会った。……雪の瞳には光が無かった。光を失っていたんだ。……とても驚いたよ。目の前で高校生数人を相手に、目茶苦茶になっててな。……もう、腰が寝けてる男達に泣きながら、殴りかかってたもんな」

……相当辛かったんだね。
自分を見失い、自分の存在を確かめるかの様に喧嘩をした。

…そうなんだよね。

私も、分からない事が無い。
だって私も…あの人が私の本当の親じゃ、無いんだもん。


本当の事を言うとね。

私と健は、血が繋がって無いんだ。



私と健の間に1mmとも。


健も、この事は知らない。


言うのが怖いんだ。

健はその事を知ったら…どうする?


それが…
怖いんだよ。

怖くて、怖くて、仕方が無いんだ。

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