涙の枯れる頃


「……雪は実の子が。羨ましかったんだね。きっと―――…」
「ぇ?」

きっと。
そうなんだよ。

…私だって、思うもん。

健は私と違って、あんな素敵なお父さんがいるんだもんね。


……とても、羨ましい。


きっと雪は私と似てる。

私も、両親に……捨てられたんだ。


そして、泣いてる私を拾ってくれたのが…………。


健のお父さん。


私の今のお父さん。


健も私も小さかったから“双子”として、育ってきた。


健はお父さんに引き取られ、私はあの人に。

別居してるんだ。


あの人は私の事が気に入らないらしく、いつも私を目に入れない様子だった。


当然。ご飯も作ってくれるワケも無く。


……もう、告げないといけないんだよね。


どうせ、いずれかバレるんだよ。


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