涙の枯れる頃


「……美姫」
私の顔に、そっと触れて、涙を親指で拭ってくれた優真。

私は、優真の目を逸らせずにいた。


だって―――…。

逸らしちゃうと、優真もどこかに行っちゃいそうで―――…。


…ねぇ、優真。
優真は、私を置いて行かない??

私を置いて、どこにも。
行かない??

健、私ね。
健がお兄ちゃんでいてくれて…

 健と双子でいれて。



本当に嬉しかった。


その瞬間―――…
悲劇が起った。

「美姫っ!!!」

その声と共に優真に強く抱きしめられて…


――――――キィィィ!!!バンっ!!ドンっ!!


全てが、スローモーションに見えた。

目の前に見えたのは、優真が着てた黒いシャツ。
それが、どんどんと赤い色に染まって行くのを―――…


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