涙の枯れる頃
しばらくすると、病院に着き、車から降りた。
玄関には待ち構えてた様に、あの看護師さんが立ってた。
「何してるんですかっ!!!」
何してる?
何も。
看護師を見、黙って病院から逆方向に歩いた。
「ちょ、ちょっと! 美姫さん!!」
「美姫!! ……どうしたんだよ」
健に抱きしめられる。
この腕。
この低い声。
この甘い香り。
この胸の中。
――意志が、
揺れ動かされる。
もう、ヤメテ欲しい。
こんな事。
「触んないで!」
健の手を振りほどいて、睨んだ。