涙の枯れる頃
―――フワっ
…この甘い香り。
いきなりの事で驚きが隠せない私。
涙が止まらずに、口を押さえた。
「…何? さっきまでの強気は誰?」
意地悪に笑い、耳元で囁く……日向。
ダメ、ダメ、ダメ。
馬鹿、ダメ、ヤダ。
心ではそう思いつつも、体が言う事を聞かない。
…ダメ。
「……日向までっ……傷つけちゃう…」
つい、口を突いて出た言葉。
「……美姫。
…俺らは大丈夫だ。
だから離れて行くな。ってか放さねぇよ」
いつもと変わらず、俺様な口調の日向。
でも、その口から出てくるのは、優しい言葉。