涙の枯れる頃



忘…れてた。
あたし…、本当に馬鹿…だ。


「……忘れてた…っとか思ったろ?」

「…な、何で?」

クスリと笑って、頭を撫でてくれる日向。


「分かりやすいんだよ…」

そうなの?
あたし、分かりやすい?


そう思ってると、日向に抱きあげられた。

素直に日向のシャツを強く握った。


「…素直」

一々からかいの言葉を投げかけてくる日向。

でも、そんな日向が愛しく思える。


日向の笑顔に、胸の鼓動のテンポが速くなるのを感じた。

日向の胸からも、心地良いテンポが鳴ってるのを感じながら、日向に微笑んだ。



あたしね、みんなを―――…

自分のせいで失いたくなかったんだ。



とても大切な人だから。

あたしの手で、失いたくない。



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